花の匂いごめんなさい。
苦しい思いをさせて。
あんな寂しいところに残してしまって。
こんな姿にしてしまって。
それでも・・・会いたいと思ってしまってごめんなさい。
「あなた達、人間に何ができるというのっ!!」
私は自分の中の鬱憤をぶつけるように気づけば叫んでいた。
人間にこんなことを言うのは間違っている。
でも自分の中の感情がぐちゃぐちゃでコントロールできなくなっていた。
人間を恨んだ事があった。
最高神であるラグデュエル様がいくら仰っても。
神がいくら人間を愛しても、愚かな人間は神を利用する。
道具として利用され、力尽き、消えていく神を何人も見てきた。
私には人間が庇護すべき存在とはどうしても思えなかった。
レブが力尽き、ダーナが憎しみから闇に堕ちたとき・・・私は安心してしまった。
神とはいえ、全能ではない。許せない時は憎んでいいのだと。我慢しなくていいのだと。
そう言われた気がしたから。
神が闇に堕ちるという本当の意味を知らなかった未熟な私はそう考えてしまった。
その後の世界がどうなるかなど深く考えず。
ダーナは憎い人間の世界を滅ぼすため力を求めた―――――私たち神の力を。
仲間の傷を、心を、救いたいと思っていた神々はあっけないほど簡単に力を奪われ消えていった。
ラグデュエル様が気づいた時には神は半数まで減っていて、幼い私は何もできずただ震えているしかできなかった。
そして、長い長い戦いの果てにラグデュエル様がご自分の命を使いダーナを封印した時には私以外の神は力を使い
果たし消えていた。
その時、私に悲しみと一緒に初めて神としての強い思いが生まれた。
ダーナの封印は絶対解いてはならない。人間っは、世界は、私が守ってみせる。
誰かに言われたからではなく、自らの意思でそう強く思った。
ダーナの封印には多くの人間が協力し命を散らしていったのだから。
私は気が遠くなるほど長い間、一人で封印を守ってきた。
すでに成熟した神になった私に人間の力などきかない。
しかし、欲深い人間は時として神の創造を超える力を発揮する。
一人一人はか弱くとも、大勢の人間が集まれば侮ることはできない。
太古の昔、神々が人間に捕まり兵器としてその力を使われたように。
遺跡から神を捕獲する兵器を発見した人間たちは、それと一緒に伝説となっていた神々が存在することを知る。
禁断の力に手を染めた死の神ダーナと神々と人間との戦い。
欲深い人間は死の神ダーナを操れば不老不死の身体が手に入ると考えた。
そして、遺跡から手に入れた兵器で私を拘束し封印を解いてしまった。
自分を操ろうとした欲深な人間たちをダーナはログという怪物に変え自分の兵隊とした。
自由を手にしたダーナは人間たちをどんどんログに変え世界を壊すための兵隊を増やしていった。
ダーナは私に見向きもしなかった。
取るに足らない存在と扱われたのだ。
力の差も歴然としていたが、一番はダーナを攻撃できない私にあった。
封印はラグデュエル様が自身の全てを投げ打って作ったもの。
ダーナはラグデュエル様の身体と力を取り込んでいた。
「どうしてっ、どうして私のためにそこまでするのっ!!私はあなたたちの大切な人を殺してしまったのにっ!!
しかもあんな姿にしてしまった張本人なのにっ!!」
レイナス、ロナード、ハントは親友を。ヴァイスは父親を。
私のせいで失ってしまったのに。取り返しのつかないことをしてしまったのに。どうして。
攻撃できない私に油断したダーナを3人の力を借りて一度は封印したが、完全ではなかった。
失った人たちにもう一度会いたいと思ってしまった私は封印を自ら解いてしまった。
そのうえ3人の魂までダーナに弄ばれてしまい、異形の姿に変えられ、愛しい人を傷つけることまで―――
私の神としての力もダーナに奪われもうなんの力も残っていない。
私にはダーナを封印することはもうできない。
この絶望的状況を作ってしまった私にどうしてそんな優しい言葉をかけてくれるの?
「イスファルはルナを守ったんだ。ルナが殺したわけじゃない」
「・・・イスファルはやっと戦う意味が分かったと満足していた」
「グラッフルはこんな美女を守ったんだって踏ん反りかえってるだろうさ」
「父さんはあなたを守れて満足してると思いますよ」
泣き崩れる私にレイナスが、ロナードが、ハントが、ヴァイスが声をかける。
彼らの顔を見れば誤魔化しで言っているのではないと分かる。
どうして人間はこんなに強いのだろう。あんなにか弱い存在なのに。
どんな辛く苦しいことがあっても目を逸らさず受け止め前を向き歩いていく。
どうしてそんなことができるの。どうして。
「僕たちは一人じゃない。仲間がいる。君も一人じゃない。僕たちがいる」
「今まで一人で頑張ってきた分少しぐらい楽をさせてやる。それくらいの腕は持ってるつもりだ」
―――少しは俺にお前を守るという仕事をさせてくれ。
「こんなかわい子ちゃん一人にするわけないじゃん。俺が守ってあげるよ♪」
―――お前は一人で抱え込み過ぎなんだよ。俺にまかせな!
「僭越ながら宮廷一の魔術師の称号を頂いているので足手まといにはならいと思います」
―――少しは頼って下さい。そんなに私たちは頼りないですか?
イスファル、グラッフル、ゼクス・・・私のせいで失われた人たち。
胸をはれ。前を向け。立ち止まるな。俺たちがついてる後ろは気にするな。
最後まで私のことを守ってくれた人たち。
みんなの言葉に死んでしまった3人の言葉が重なる。
私はまだ間に合うだろうか?
「今まで世界を守ってくれてありがとう。これからは僕たちが君を守るよ」
―――大丈夫。ルナならやれる。
涙が止まらなかった。
ラグデュエル様、今なら分かります。人間は守るべきものだと。
愚かな一面もありますが私は人間が愛おしくてたまりません。
ラグデュエル様もそうだったんですよね?
「みなさん、私に力を貸して下さい」
私はきっとこの世界を守ってみせます――――力尽きることになろうとも。
勢いでこんな話書いちゃいました!!
なんか恥ずかしい・・・><
もうちょっとちゃんと書ける様になりたい・・・
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